台湾世界遺産候補地への旅

台湾の日本

僕が所属している台北東海ロータリークラブの活動で、台湾中部苗栗(ミャオリー)にある「舊山線(旧山線)」に行ってきました。

舊山線(旧山線)とは

台湾は、1895年の日清戦争後、清朝から日本に割譲され、いわゆる「第2次世界大戦」が終わる1945年までの50年間、日本の統治下にあったことは周知のとおりです。

日本当地開始直後、それまでの台湾にはなかった、台湾北部と南部を結ぶ鉄道を作る計画が当時の台湾総督府民生長官であった後藤新平を中心に立案され、建設されました。これを「縦貫線」といいます。

日本統治前の清朝時代にも、台湾北端に位置する基隆から新竹(桃園の南側)までの一部で鉄道があったようですが、財政上の理由等によりそれ以上の南下伸延は断念されていました。後藤新平はこの路線の修復と同時に、台湾南部の高雄からも線路建設を進めました。

そして1908年、ついに台湾北端の基隆と、台湾南端の高雄を結ぶ鉄道が完成したのです。


上の図における、台湾の西側を上下に結ぶ青いラインが縦貫線で、台湾中部すこし北側にある二股に別れた路線(海線と山線と書いてある部分)の「山線」の一部が、「舊山線(旧山線)」と呼ばれる部分で、現在台湾の世界遺産登録の候補として挙がっている場所です。

縦貫線開通当時はこの「山線」のみのルートでした。内陸側のルートのほうが台中の市街を通るので旅客や貨物の需要が高く、また有事(戦争)の際は海側よりも攻められにくい、という理由もあったそうです。しかしこの「山線」は急勾配が輸送のネックとなり、物資等の供給が追いつかなくなることなどから、のちに「海線」が作られました。

龍騰断橋

この「舊山線(旧山線)」開通当時に作られたレンガと鉄から作られた橋を「龍騰断橋(りゅうとうだんきょう)」と呼び、そのうち今もなお遺構としてレンガ部分の脚柱が残されています。

当時日本本土から材料を運び作られた鉄道橋ですが、1935年に起きた「新竹・台中地震」により損壊、断橋となってしまいます。損壊後、強度を増して修復しようという意見も出たとのことですが、「今回の地震以上の衝撃にも耐えうる、さらなる強固な橋を新たに作り直そう」という事で、この脚柱の残る西側(上記写真の奥に見える橋)に鉄橋を作り直したということです。


上記3枚の写真は、川を渡った反対側に残る脚柱。気の茂り方からも、歴史を感じさせる遺構です。


これはまだ橋が現役時代の写真。山間の谷間をつなぐ鉄道橋として、この時代にすでにこのような建設技術を持っていたというのは、日本人としてつくづく誇りに思います。

レールバイクで線路上を走る

西側に新しく作り直された鉄橋も今では鉄道用の線路として利用されなくなり、2018年からはこの線路を活用したレールバイクが誕生。観光地として更に名を知られることになり、世界遺産候補地として相乗効果が図られているようです。

今回僕たちも、このレールバイクに乗ることができました。

↑こんな感じ

一台のレールバイクは四人乗り。それぞれの椅子の足元にペダルが付いているので、「あ、みんなで頑張ってこがないとダメなのね」と気合を入れていましたが、実際はバイクのようにハンドルのグリップを回して自動で走ってくれます。


いざ、出発!!


途中のトンネルの中はライトアップされ、なんだか幻想的。どこかにワープできそう。笑

軽く動画もどうぞ。

線路内を普通に歩き、手を振り、線路をまたぐ人たち。このアバウトさが、台湾の良いところ。
とても多くの人で賑わっていました。

世界遺産登録へ向けて

台湾には、今回ご紹介した「舊山線(旧山線)」を含め、18個の場所が世界遺産登録候補地として台湾の行政院が公式に指定されています。

しかしながら、世界遺産をとりまとめる「ユネスコ」に台湾は正式加盟していない(できていない)ため、残念ながらまだ世界的な候補地として認められるまでに至っていません。

世界的な政治絡みの問題など、課題は山積しているのだと思いますが、世界的に素晴らしい場所や遺跡、遺産などはなんのわだかまりもなく誰もが素晴らしいと認められる平等なものであるとも思います。

ぜひ一日でも早く、台湾の素晴らしいこれらの場所が、世界遺産として全世界に認められる日が来てほしいと切に願うばかりです。

Ogatake

Ogatake

日本と台湾で小さな会社を経営しつつ、デュアルライフ人生を送ってます。日本の不動産関連コンサルティングや、日台双方の起業・進出支援などもやってます。それ以外もなんやかんやガチャガチャといろいろやってるんで、いろんな情報をこのサイトでお届けできればと思っています!

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